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『紅衣の公子コルム』icon
著者:マイクル・ムアコック/著 斎藤伯好/訳
早川書房 (ISBN:4-15-010470-0)

昨日、「少女革命ウテナ」を書いていて思いだしたのが、マイクル・ムアコックだった。で、ムアコックを書こうと思ったけど、「タクティクスオウガ」も前から書きたかったので、今日はそのつもりでいたのに。

すぐに気が変わって、やっぱりムアコックネタにしようとおもっちゃいました。

で、私が初めてムアコックに触れた作品が「紅衣の公子コルム」シリーズだった。

「紅衣の公子コルム」シリーズも前期、後期とあって、今回は前期の部分の話。 「剣の騎士」「剣の女王」「剣の王」の三作品。

主人公のコルムは、異種族に同種族を皆殺しにされ、復讐を誓う不幸の男。しかし、復習するべき種族の女性ラリーナに恋をして、結婚してしまうあたり、何ともいえませんな。

マイクル・ムアコックは、ヒロイックファンタジー作家で、もう一人の雄「コナン」の作者ロバート・E・ハワードとはすごく対照的な作品を創り上げたので有名。

日本人の感覚で言うと、マイクル・ムアコックの方が受けが、よろしいかとおもうほど。でも個人的な意見を言わせてもらえば、マイクル・ムアコックの作品は、ヒロイックファンタジーとは、言い難い。

やっぱりヒロイックファンタジーといえば、剣と魔法。神と人との関わりが密であり、筋肉マンの男が世界を駆けめぐる冒険活劇的な話である、とも思う。

で、マイクル・ムアコックが創造したヒロイックファンタジーは、天野嘉孝のイラストがとってもよく似合う繊細で、陰を背負った男の物語で、なんでそんなに弱いのという位、弱いです。

その中にあって、コルムはこの前期では、比較的強いです。片手、片目を失っても復讐に燃える男です。失った片手片目を神の手と目に変えて、異種族のバックにいる親玉の神々に戦いを挑むコルムは、なかなかにいい男です。

天野嘉孝のイラストがあまりにもはまっていて、ラリーナなんか、とっても綺麗です。天野嘉孝が、ファンタジー系のイラストの仕事が多くなったのもこの作品のおかげといってもいいのではないでしょうか。

なんといっても、この三作品は、ハッピーエンドだというのがいいです。やっぱり、物語はハッピーエンドでなければいけません悲劇的なのはちょっといただけない。確かに、悲劇的な方が深く心に残るものですが、最後くらいは綺麗に終わって欲しいものです。

何でこんな事を書くかというと、マイクル・ムアコックのほとんどの作品は、結構悲劇的だからです。そんな中、コルムの前期だけは、ヒロイックファンタジーらしく、すかっと爽やかとはちょっと言えないけど、後味すっきりと終わってくれます。

後期は、いずれ書こうとは思っていますが、ムアコック作品の「天秤世界」。カオスとローの世界の全貌が見えてくるのです。

カオス(混沌)とロー(法)の戦い。それは、神々の戦い。マイクル・ムアコックが創造したエルリック・サガ、エレコーゼ・サガ等々の根底の世界が現れてくるのです。

どれでも良いから一つマイクル・ムアコックの作品を読むと全てのシリーズを読みたくなってしまう。何とも麻薬じみた怪しげな小説です。

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