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『トータルリコール』(「マイノリティ・リポート」内掲載)icon
著者:フィリップ・K・ディック/著 浅倉久志/〔ほか〕訳
早川書房 (ISBN:4-15-011278-9)

三回連続で、トータルリコールです。
一回目は、原作の短編小説をネタに。

「追憶売ります」が、日本語原題ですが、他が全てトータルリコールなので、タイトルを統一しました。

小説、映画、TV、全ての作品に共通しているのは、リコール社のみ、と言ってもいいかな。

あぁ、主人公が警察ないし、それに近い職業というのは、共通か。

リコール社というのは、今の言葉で言うならヴァーチャルリアリティを体験?させてくれる会社です。

自らの記憶に、こんな事があったのだぁ、と、追加記憶させることを生業としている会社です。

だから、小説の主人公も毎日の退屈な日常から、少し逸脱した体験をしたくて、リコール社の門を叩きます。

ここで、主人公が願ったのは、火星旅行。

それも秘密捜査官としての仕事としての火星体験を希望するのでした。

さてさて、ここから「追憶売ります」の楽しい話になっていきます。

追憶とは、過去のことを思い出してしのぶこと。

リコール社は、過去の仮想体験を植え付ける会社です。
だから、リコール社を訪れた人間は、偽の記憶に思いをはせることで、満足するのです。

しかし、主人公のクウェールは、過去のことを思い出して忍ぶことはありませんでした。

強制的に消去された過去を、よみがえらせることになるのです。

それも、希望していた体験そのものの過去を。

思い出してはいけない過去を思い出したクウェールは命を狙われます。

それも昔の仲間に。

逃げ切れないことを悟ったクウェールは、取引を持ちかけます。

もう一度、憶えていてはいけない過去を消してくれと。

そうすれば、お互いハッピーになれる、と。

しかし、一度消した過去がよみがえったと言うことは同じ事が再び起こる可能性が高い。

そこで、もっと強烈な過去の記憶を植え付けて、思い出させないようにしよう、とするのです。

潜在意識が持つ強烈な願望を満足させてやれば、今の生活に不満を持つことなく、また再び記憶を呼び戻すきっかけとなったリコール社に足を運ぶこともないだろうと。

さてさて、ここから先が、SFなんですねぇ。

ネタバレになるから書きませんが、まぁ、いい感じです。

SFらしいです。

「コブラ」というマンガをご存じでしょうか。

この第一話が、この小説を元にしているような気がするんですよね。

海賊コブラが、記憶を戻す話。

コブラは、いずれ書かせてもらいます、お楽しみに。

さてさて、ネタバレになるので書くつもりはありませんでしたが、書いてしまうので、これから本を買って読もうと思っている方は、読まないように。

 

クウェールには、突飛な願望がありました。

それは、少年の日の思い出としての願望です。

宇宙人が地球侵略を企てていて、少年クウェールが、地球を救うという話。

細かい部分はおいといて、この願望が、実は本当にあったと言うことが判明するのです。

その結果、秘密警察と交わされた取引の条件として、記憶が戻るようなことがあったら殺す、という部分の適用が出来なくなってしまったのです。

それは、宇宙人との約束で、クウェールが生きている間は地球を侵略しない、という約束のために。

後半の落ちは、見えているのですが、面白いです。

短編ですから、こんなモノだろうと言う気もします。

しかし、この話からみなさんご存じのSFアクション映画「トータルリコール」が生まれたのです。

その話は次回。


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