アーシュラ・K・ル・グインという作家をご存じでしょうか。
SF作家です。
でも、その枠にははまりきらない作家であると思っています。
SFというジャンルを読んだことのない人や、あまり好きではない人にとって、ル・グインの作品は、もしかしたらちょうどいいのかもしれません。
さて、お題の「オルシニア国物語」ですが、これは、ル・グインの代表作品というわけではありません。
やっぱ、ル・グインといえば「闇の左手」「所有せざる人々」「風の十二方位」そして「ゲド戦記」四部作でしょう。
ル・グインは女性作家です。
だから、文体(といっても私は翻訳した日本語でしか読んだことがないので、文体と言うよりは言い回しと受け取ってもらえればいいかな)とかの雰囲気は、とっても繊細です。
そして、この「オルシニア国物語」は、その雰囲気がバッチし感じられ根作品です。
SFではありません。どちらかというとファンタジーです。
でも、純粋なファンタジーでもありません。
私の感覚で言うと、大人のグリム童話みたいな感じです。
架空のオルシニア国を舞台にした物語。
それも、短編。
三百四十ページの中に十一編の短編が収められている短編集です。
とっても面白いです。
オルシニア国に住む人たちのちょっとした出来事が語られています。
読み始めて戸惑ったのは、世界観の説明がまったくと言っていいほどないということ。
いきなり、オルシニア国に放り込まれて、彼ら彼女らに起こった事柄を垣間見ている感じなのです。
素直に、この世界に入るのに少しばかり時間がかかってしまいました。
でも、一度はいると、もうそこから離れることは出来ません。
そして、この物語には純然たるハッピーエンドの物語はありません。
どこか物悲しかったりします。
それも主観的な立場で物語が語られていないので、とってもやるせない気持ちになってしまいます。
主人公たちと同じ立場になることはない物語。
これは、もうル・グインの作風そのものです。
最初の方で大人のグリム童話と書きましたが、それを思いっきりイメージしてしまうと全然違うと言うことになってしまうので気をつけるように。
別にアンデルセンでもいいんだけどね。
物語になにか教訓めいたモノを感じる雰囲気が、似ていると言うだけです。
童話じゃないし、ファンタジーでもない。
特定のジャンルで括るのが難しいです。
十一編の中には、一つは気に入る作品があると思います。
私は、三編ほどありました。
「イーレの森」「音楽によせて」「モーゲの姫君」次点で「塚」かな。
いろいろな時代のオルシニア国に住む人たちの生活をちょっと覗いてみませんか。
きっと、お気に入りの物語に出会えると思います。
何度も書きますが、あまりハッピーな気分にはなれないのでご注意を。
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